
西条市医師会報NO.59
表紙のことば
「薔薇」
医師会報表紙画に依頼FAXをお受けし、モチーフとして先ず頭に浮かんだのは西山興隆寺の紅葉でした。車を駆って訪れました。予想通りの美しさでしたが、衆人環視の中に腰を据えて頑張る勇気もなく、後髪をひかれる思いで引き返しました。
翌日、家庭菜園で丹精され、掘ったばかりの根菜の到来物のなかに、店頭では見られない海老芋の表面に、もやしの茎のような紐状の根が何本も生えて、それぞれは白く半透明で、端々しいのが数本ずつ芋にくっついておりました。これは胎盤形成時の絨毛間腔に浮ぶ絨毛と同類か、などと想像しながら丹念に写生を致しました。そして電話のベルを機に一寸ひと休みの心算が、ついつい休み時間が長くなり、時を経るに従い、当然乍ら乾燥が進み、根は見る見る黒ずみ、糸のように細り遂には縮れ毛状になるのを体験しました。これでは始めの感動はどこえやら、画の方も加筆のたびに何となく薄汚れて、完成を諦めるにいたりました。
次は今回提出の画ですが、買い物のお供で店に入り、花のコーナーの一隅にポッと明かりが灯ったような小振りなバラが目に付き、その清楚さに惹かれて購入し、描いた次第です。上手くに表現は叶いませんが、やっと間に合いました。
2015/03/04 大久野島の兎
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